もうすぐ廃校になるのではないかと、自分の入学当初から言われているこの学校は、小学校と中学校が一緒になった、山奥にある学校です。1番遠い子だと、登校に片道30分かかり、だいたい生徒は皆、待ち合わせて一緒に登校します。低学年から高学年までさまざまな学年の生徒がいますが、最大9年間の付き合いになるので、どの生徒も兄弟のように親しくしています。
それゆえに、ケンカをするとそのケンカも容赦なく、中1の男子と中2の男子のいざこざでは、ケンカの拍子に扉のガラスを割ってしまいました。
そんな時、慣れているのはやっぱり先輩の、中3の生徒です。扉のガラスを割ってしまったことに驚く当事者たちも、周囲に居た人たちも動揺しましたが、すぐに先輩が発した「動くな」という一言に、皆がその場で固まります。皆が止まったところで冷静に、上級生女子に低学年の生徒たちをその場から離れさせるよう指示を出し、残りの生徒たちには箒と塵取りをもってくるように言います。ケンカをしてガラスを割った張本人たちは、職員室に報告に行くよう命令します。冷静な判断と指示で、二次被害は起こりません。こんな小さなコミュニティですから、何か起こった時の団結力も凄いです。ちょっとしたいざこざなんかも、話せばわかる、怪我がなくて良かったねと仲直りすることができるのです。
しかしガラスを割った当人たちは、この後先生に叱られ、親も呼び出されて親にも怒られるでしょう。当然ガラスの交換費用は当人たちが出すべきですから、できれば今度は、体育の女子の着替えの時に便利な、不透明なすりガラスに替えてもらえないかと密かに思っています。彼らのせいで割れたガラスの掃除をしたり、低学年の生徒たちを泣き止ませるため苦労をかけられたのですから、当然の賠償請求だと思います。